スティーブンスン・ロケット
2020/10/01

【どんなゲームなの?】
イングランドで鉄道網を築こう!というテーマの鉄道ゲームですが、各プレイヤーは鉄道会社をテコに儲けようと、公共性とかなんとかそんなものは微塵もありません。
プレイヤーができることは、
・丸チップ(品物が描いてある)を取る
・駅舎を建てる
・鉄道を伸ばす、そして株を得る
以上の3つのアクションのうち2つを実行します。同じアクションを2回でも構いませんが、同一鉄道会社の2度延伸だけは認められません。
駅舎建設が独特です。現実世界の駅舎建設って、線路敷設と並行して行われるんじゃないかと思いますがこのゲームの駅舎は線路からやや離れた場所に唐突に現れます。そういうルールなのです。現れた駅舎に向かって線路を伸ばし、見事くっつけば本当の意味での駅舎なるのですが、駅舎の隣を線路がスルーすることなどもこのゲームの世界では平気で起こります。拝金主義者のエゴイズムの結果なのです。
このゲームの都市は、
・鉄道スタート都市
・駅の都市
・大都市
の3種類があります。
鉄道スタート都市から鉄道は伸び始めます。機関車駒が置かれていて機関車を進め、その後ろに線路タイルを敷いていくのです。
線路が駅の都市につながったら、駅舎の決算になります。駅舎の決算はその鉄道に乗っている全プレイヤーの駅舎数を比べて1位2位に得点(お金)が入ります。
大都市は丸チップが置かれている都市です。あらかじめ丸チップを取得したうえでこの大都市につながると得点になります。
あと、鉄道はつながることで合併、ということになります。合併では、つながるように突っ込む側と突っ込まれる側で合併ということになりますが、突っ込まれる側が小さな鉄道会社でもそちらが存続することになります。この場合は消滅する鉄道会社の株の1位2位に収入になります。
1位と2位の得点ですが、1位は大きく満額、2位は小さく半額、3位以下は全く入らない、というシステムです。
ゲームが終わる、つまり線路タイルのストックがなくなるか、取れる株式が1種類のみになったらゲームが終わりになります。
ゲーム終了時に、丸チップ、駅舎、株式を得点化(現金化)し最も裕福なプレイヤーの勝利です。

【面白さのポイント】
分かってみれば簡単とさえ言えるゲームですがルールに癖があるように感じます。
2~4人用のゲームですが、1位満額、2位半額のルール。2人プレイでも1位はともかくほんのちょっぴり株か駅舎か持っているとそれだけで巨大鉄道会社の2位得点が入るのが最初は違和感を感じました。でもそういうものだから、そういうルールの特性を生かした作戦を取れば良いだけなのです。
駅舎を線路からやや離れた場所に建てるのですがここも奇妙な感覚です。あうんの呼吸で協力すればすんなり駅舎建設はなりますが無論このゲームは協力ゲームではありません。つまり、敵対的なゲームなのでここでしっかり張り合うのが正解なのです。すると、線路を伸ばすたびに【拒否権】の応酬になります。
鉄道ゲームというか、拒否権ばかりの【拒否ゲー】がスティーブンスン・ロケットの重要なポイントに思えます。
また、吸収合併される鉄道会社の株式は、存続鉄道会社の株式にチェンジされますが、1対2の交換になります。つまり旧鉄道会社の2株を新会社の1株に変えねばならないのです。
このルールを利用して他プレイヤーが大株主の会社をわざとつぶしてむりやり別鉄道会社に飲み込ませるという作戦も重要です。ここでも線路を伸ばすことにより合併させるのですがそれに抗うのはやはり拒否権でしょう。
拒否権は株式を用いた一種の競りです。より多数の株式を捨てることにより線路をグイっと曲げ、思い通りの方向に伸ばすのです。
ボードはやや広く、どこから手を付けて良いか最初は迷います。しかしゲームが進むにつれ、誰がどの会社にどの程度入れ込んでいるか明らかになってくると利害が激しくぶつかり合い、足の引っ張り合いが熾烈になります。
熾烈な、激しいプレイヤー間の関わり。レーベンヘルツほどではないですがプレイヤー間の叩き合いは激しいゲームです。運の要素もありません。
やや癖のある難しめのゲームですがしっかりルールを飲み込んでみると、あらゆる要素が得点と綿密に絡み合い、無駄な要素がなく、駆け引きがアツく、多くの選択肢から最善手を考えるのが楽しいゲームです。そして、イングランドを縦横に伸びる路線を見るとなんだかそれだけでワクワクする、やはり鉄道ゲームです。
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