ビッグショット
2015/07/01

ビッグショット。

ボードを広げました。
【どんなゲームなの?】
アレックス・ランドルフ作の競り陣取りボードゲームの名作です。
ボードの外周部のマスに4つずつ、色付きキューブが置かれています。このキューブは陣取りのための要素=戦力なのですが、これが競りにかけられるのです。あるマスには4色置かれ、またあるマスには3色、2色……。

ゲームの準備完了!外周部マスには4つずつキューブが置かれている。
これは大前提なのですが、キューブの色はプレイヤーカラーです。しかしながら、外周部マスに置かれた駒を配置する権利は競りの落札者なのです。もちろん自分で自分の駒を置くことも大事です。しかし敵駒を巧みに置くことで自分のエリア、占有地をいい感じに増やせるのです!
まず、どの外周部マスが競りの対象になるかサイコロ振りで決められます。そして競りです。競りは順番に値段を付ける競りですが、一巡の競りではなく、グルグルグルグル降りるまで何回転でもします。競りで一人だけ残ったのならそのプレイヤーがマスに置かれているキューブをプレイエリアに配置するのです。
ここで重要なことが二つあります。
・プレイエリアの1マスに置ける駒は7駒が上限
・プレイエリア1マスでトップが複数いる場合は相殺になり全く無効になり権利が次点に移る
2つ目の方は「ハゲタカのえじき」式同点処理で、ここをうまく使うと
3対3対1
のように芸術的効率でマスを専有できるのです。この場合キューブ3個を費やしたプレイヤーはトップタイとなり無効になってしまうのです。ちなみにハゲタカのえじきもランドルフ作品です。
また、このゲームを語る上で外せないのが「借金」です。駒を置く権利は金で買えるのですが、そのお金はあっという間に尽きてしまいます。そこでゲームのお金を借りることができるのです。しかし!これがとんでもない暴利なのです。
借金をするにあたり予め利息分だけは天引きされた状態でお金が悪徳金融から渡されます。最初は利息1割。だから10円を借りるにあたって利息を引いた9円だけが与えられます。次は2割、そして3割、4割……こうしてやがては全て利息の支払いに充てられるため全く借金もできなくなる……。
借金はゲーム終了時に清算されるのですが、こんな暴利ならば最初っからな~んにも参加せず嵐が過ぎるのを待てば良いのではと思われかねません。しかしそうもいかないのです。プレイヤーがこのゲームに勝利するためには少なくともプレイエリア2マス以上を支配していなければならないからです。
ゲーム終了時に占有できているエリアの価値だけの金銭が得られ、借金を清算し、最も裕福なプレイヤーの勝利になります。

ゲーム終了時の様子。「SOLD」はエリア支配者が確定しているマスです。
【面白さのポイント】
こういうゲームがつまらないゲームのはずがない!と思います。このゲームは陣取りですが陣取りをする手段の駒を競りで買うのです。つまり陣取りの面白さ、競りの面白さが融合しているのです。
それだけではありません。エリアを支配するための駒がハゲタカのえじき方式でのバッティング、これが非常にいい具合に働きます。少数駒で逆転する痛快さ!4個の駒を落札し、それを相手にぶつけて効率良く支配する、これがとても気分良く、逆にしてやられるととても悔しい思いをするのです。
さらには性格の悪い悪徳金融の登場と勝利のための2マス占有が必須と言うルール。このゲームの隅々に至るまでデザイナーの(良い意味での)性格の悪さを感じ取れます。
簡単なルール、強烈なジレンマ、競りの面白さ、陣取りの面白さがつまったボードゲームの名作です。
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